泳ぎ続ける
- 田仲哲也
- 2016年8月3日
- 読了時間: 2分
前期末講評会のアーティストステイトメントです。
魚の群れは泳ぎ続ける。死なないために泳ぎ続ける。
魚の群れを見ると純粋に美しいと感じる。でもそれが何に対してなのか、形なのか色なのかそれともその全てなのか。
私は「泳ぎ続ける」というその行為こそが美しさの根源だと思う。
「泳ぎ続ける」それは強要されている訳でなく魚たちにとってごくごく当たり前の行為なのだろう。「泳ぎ続ける」ということは「生き続ける」ということ。ごくごく当たり前に歩みを止めず生き続けることは尊く美しい。
「一度踏み外すと簡単には戻れない社会」と学生たちは言う。誰からか聞いた訳ではない。そんな空気を小さな時から肌で感じている。私たちはそんな世代だと思う。
時代の空気は常に移り変わる。自分が生きたいように生きるには歩みを止めてはならない。死なないために生き続ける、生き続けるために泳ぎ続ける魚たちのように。
魚たちが当たり前に泳ぎ続ける姿を形にしたい。私が魚の群れと対峙して感じたことを、私というフィルターを通して私の中に蓄積された思いを乗せて形としたい。
そんなことを考えて作った作品です。
体が青く蝕まれ、抉れたような表現によって死や停滞といった負のイメージが歩みを止めればすぐ後ろに迫っていることを現しています。



Comments